節気便り
2026.04.20
穀雨
緑潤う
二十四節気では「穀雨」の頃──、
春の雨が降り続き、野山は新緑に彩られていきます。
穀雨とは、穀物に実りをもたらす恵みの雨のこと。
煙るように降るこの時季の雨は「百穀春雨」とも呼ばれ、
田畑を潤し、植物の成長を促します。
やわらかな雨と陽光が、万物を育むこの時季。
草木の緑は日ごとに深まり、
次なる季節へと静かに移ろっていきます。
この時季の雨は、地表を潤しながら土の奥へと染み込み、
芽吹いたばかりの生命を支える恵みの雨。
古くよりさまざまな呼び名が付けられ、
季節の移ろいを知らせる言葉として親しまれてきました。
開花を促す「催花雨(さいかう)」、
芽吹きを助ける「木の芽雨(このめあめ)」、
菜の花が咲く頃に降る「菜種梅雨(なたねづゆ)」などは、
いずれも雨の風情を映した春の季語。
自然を慈しみ、その移ろいを細やかに見つめてきた
古の人びとの感性が息づいています。
春から初夏へと移ろうこの時季、
やがて訪れる「八十八夜」は、立春から数えて八十八日目にあたり、
農作業の目安とされる節目の日。
福を招くとされる末広がりの「八」が二つ重なることや、
「八十八」の字を組み合わせると「米」の字になることから、
農事に携わる人びとにとって縁起がよい日とされてきました。
「八十八夜の別れ霜」とも言われ、遅霜の心配が薄れる頃のため、
種まきや茶摘みを始める目安ともされています。
この頃に摘まれる新茶は香り高く、生命力に満ちた縁起物。
“八十八夜の茶を飲めば長生きする”と言い伝えられ、
無病息災を祈る風習として大切に受け継がれています。
恵みの雨が大地を潤し、緑が瑞々しく輝く穀雨──。
滋味豊かな新茶で一年の健康を祈り、
来たる夏も健やかに過ごせますように。