節気便り
2025.04.04
清明
卯月八日
二十四節気では「清明」の頃──、
天地が春のやわらかな光に満ちていきます。
清明とは、清らかで明るく美しいことを意味する「清浄明潔」の略。
草木は芽吹き、鳥はさえずり、万物が生き生きと輝き始めます。
旧暦四月八日は「卯月八日(うづきようか)」。
田へと降りてくる山の神を迎え、
豊作を祈願する慣わしがあります。
四月の異名である「卯月」。
卯の字は“初”や“産”に通じることから物事の始まりを意味し、
農作業を始めるこの月を一年の起点としたことに由来するのだとか。
晩春を迎えて花々は咲き揃い、若葉が萌え出て、
次々と新たな生命が躍動し始めるときです。
卯月八日は古より伝わる民俗行事で、
山の神を祀る儀式や山開きが行われるほか、農事始めの目安ともされていました。
また、山からつつじや藤、石楠花(しゃくなげ)などの野花を摘み取り、
竹竿の先に結びつけて庭先に掲げる「天道花(てんとうばな)」という慣わしも。
天道とは、お天道様、つまり太陽のことを指し、
多くの恵みを与える太陽に感謝を捧げて五穀豊穣を祈ります。
花は神が宿る依り代とされ、天高く伸びた竿は、
山から神を迎え入れるための目印と考えられていました。
この風習は現在も西日本を中心に受け継がれており、
天道花の下に草餅や団子を供えるなど、地域によってさまざまに親しまれています。
清明の頃に行われる「踏青(とうせい)」は、
古代中国から伝わった風習で、青草を踏んで野山を歩く春の野遊び。
青草のやわらかな感触や、瑞々しい香りを愉しみつつ、
萌え出たばかりの生命の息吹を身体に取り込んで英気を養います。
多くの歌人に好んで詠まれている春の季語でもあり、
清々しい新緑の季節の訪れを表す風雅な言葉です。
花々がほころび、風薫る卯月。
自然への感謝と祈りを花に託して、華やかな春の祝いを。