節気便り
2025.11.07
立冬
七五三
二十四節気では「立冬」の頃──、
木枯らしが木々の葉を落とし、冬の気配が漂い始めます。
立冬は、四季の節目となる“四立(しりゅう)”のひとつ。
この日から二月初頭に訪れる「立春」までが、
暦の上での冬とされています。
十一月十五日は「七五三」。
三、五、七歳になる子どもが晴れ着姿で神社を参拝し、
無事の成長を感謝するとともに、
将来の健康と幸福を祈願します。
七五三は、平安時代に宮中で行われていた
三歳の男女が髪を伸ばし始める「髪置き」、
五歳の男の子が初めて袴を履く「袴着」、
七歳の女の子が付け帯を解いて大人の帯を締める
「帯解き」という祝いの儀式に由来します。
やがて、これらの儀式がひとつにまとまり、
武家や庶民の間にも広まって現在の七五三の風習となりました。
「七つ前は神のうち」と言われるように、
かつては七歳までの子どもは神からの預かりものと考えられ、
七五三の儀式を経て、人として現世に生まれ変わるとされていました。
また男女ともに七歳になると氏神様を参拝し、
「氏子(うじこ)入り」をすることで、
地域社会の一員として認められるという風習も。
七五三は、子どもが大人になる自覚をもつための重要な通過儀礼であり、
親の過保護を戒める行事でもありました。
七五三の祝いに欠かせないのが「千歳飴」。
「千歳」は「千年」を意味し、飴の細長い形状には
“細く長く粘り強く、いつまでも健やかに長生きできるように”
との親の願いが込められています。
紅白の色には厄祓いの意味があり、
外袋には鶴や亀、松竹梅といった縁起物が描かれるなど、
縁起菓子として親しまれています。
七五三は、子どもの健やかな成長を喜びつつ、
大人になっていく姿を見守るためのひとつの節目。
親の愛情に満ちた大切な慣わしです。