節気便り
2026.08.07
立秋
盂蘭盆会
二十四節気では「立秋」を迎える頃──、
朝夕の風やヒグラシの声に、秋の気配を感じ始めます。
立秋は、新しい四季の始まりとなる“四立(しりゅう)”のひとつ。
この日から十一月初頭に訪れる「立冬」までが、
暦の上での秋とされています。
旧暦七月十五日前後に行われる
先祖供養の伝統行事「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。
仏壇や墓を清めて供え物をし、
先祖を偲んで日々の感謝を捧げます。
盂蘭盆会とは、お盆の正式名称。
「盂蘭盆」は、サンスクリット語に由来する仏教の言葉で、
日本では祖霊信仰と結びつき、「お盆」の風習として親しまれています。
古くより正月と並ぶ一年の節目とされ、
家族の健康や繁栄を願う吉事としても大切にされてきました。
盂蘭盆会は、あの世から祖霊を迎え入れ、ともに過ごすための期間。
初日となる盆の入りには、
門前にて苧殻(おがら)で「迎え火」を焚き、祖霊を迎えます。
夕暮れに灯る火は、祖霊が迷うことなく家へ帰るための道しるべ。
仏壇の前に盆棚を設え、米や野菜などの収穫物を供えるほか、
菊や蓮などを象った落雁を供える風習もあります。
盆花とともに飾る「精霊馬(しょうりょううま)」は、
胡瓜や茄子に苧殻で脚をつけ、馬や牛に見立てた供え物。
祖霊があの世とこの世を行き来するための乗り物とされ、
行きは馬で早く迎え、帰りは牛でゆっくり戻るようにとの願いが込められています。
盆明けには「送り火」を焚いて祖霊を見送ります。
地域によっては川や海などに灯籠を浮かべて送る「灯籠流し」や、
精霊舟を流す「精霊流し」などが行われ、
迎えることと同じように、見送ることもまた大切にされてきました。
水面を漂う灯火には先祖への感謝と、
静かな旅立ちを願う人びとの祈りが託されています。
祖霊を迎えてともに過ごし、静かに送り出す盂蘭盆会──。
目には見えない繋がりを慈しむ、日本の心が息づいています。